たったひとつの恋をください
「ぷっ。何あれ。ウケるー」
見れば、太一が変なポーズでシュートを決めているところだった。
友達が多くて、いつもみんなを笑わせてる太一は、男女問わずクラスの人気者だ。
「写メ撮っちゃおー」
一人が言って、まわりも一緒になってケータイを窓の外に向ける。
「あ、今のいいね。送っといてー」
えっ、隠し撮り!?しかも回そうとしてる!?い、いいのかな……?
横目で盗み見ながら、内心ちょっとドキドキしてしまう私。
まあ、太一なら、むしろ撮ってーとか言いそうだけど。
そんなことを考えていると。
「ねえねえ、ナナちゃんもケータイ買おうよ。写メ送り合ったりできるし、楽しいよー」
「えっ!?」
いきなりこっちに話題を振られたから、思わずドキッとしてしまう。
も、もしかして盗み聞きしてたのバレてた……?
「あ……楽しそうだけど、うち親が厳しくて買ってもらえないんだよね」
「そっかー。残念だけど、それならしょうがないね」
「うん、ほしいんだけどねー」
あはは、と苦笑いを浮かべた。