たったひとつの恋をください
翌朝。
リビングのドアを開けて、それの存在に真っ先に気づいた。
いつもはそこにないもの。一枚のメモ用紙が、テーブルの真ん中に置いてあった。
「え……っ?」
手に取ってみて、私は目を見開く。まだ寝ぼけ気味だった頭は、一瞬にして覚めた。
私が書いた、よく見なければ気づかないほど、小さな文字。
その下に、お母さんの字が付け足してあった。
『いいよ。』
たったそれだけ。すごくシンプルなメッセージ。