たったひとつの恋をください
夜の学校は、思っていた以上に不気味だ。私はケータイのライトを頼りに早足で屋上を目指した。
キイ、と錆び付いたドアを押すと。
「おー、来た来た!」
クラスのみんながこっちを向いて、待ってたよー、と手を振ってくれる。
クラスメイトの半分近くが、そこに集まっていた。
「ごめん、遅くなっちゃった」
「全然いいよ。ちょうど今からピークだって!」
言われて、空を見上げる。
どこまでも続く果てのない夜空。その空を、矢印みたいな流れ星が次々と飛び交っていく。
たくさん、たくさん、きっと、この街の人たちのたくさんの想いを乗せて。