たったひとつの恋をください
廊下を曲がる手前で、ふと、ピタリと足を止めた。
見てはいけないものが、曲がった先にチラリと見えてしまったから。
「どうしたの?」
「し、しーっ!!」
慌てて口に手を当てる。
壁に隠れて、そっと覗いてみる。状況を察したらしい琴里も、私の隣で同じようにこっそりと少しだけ首を伸ばす。
そこにいたのは、太一と、違うクラスの知らない女の子。
ショートカットで、まるでモデルみたいな小顔とスタイル。角度的に横顔しか見えないけど、それでもパッと見ただけですごく可愛いのがわかる子だった。
「あれ、相沢さんだね。学年一の美少女。読者モデルもしてるって噂の」
琴里が声をひそめて言う。
……なるほど。どうりでスタイル抜群なはずだ。