たったひとつの恋をください




ずっと考えてた。だけど私は、もうとっくに、その答えを知っていた。


ーー嫉妬。


煩くて、厄介な、この感情にぴったりな名前。


知ってたんだ。ずっと前から、気づかないふりをしてただけで、本当は。



『ねえ、知ってる?願いが叶うおまじない』



あの子が羨ましくて仕方なかった。


可愛いあの子が、当たり前のように守られてるあの子の場所が。



『黒板に願い事を書いて、誰にも見られないように消せば、願いが叶うんだって』



ずっとずっと、あの子になりたかった。
でもそんなの無理だってわかってたから、必死に押し殺してた。



『これ、結構効くらしいよ』



おまじないなんて、興味ないふりしてた。


だけど今、その言葉の一つ一つが、こんなにも耳に残ってる。まるで呪文をかけるみたいに、何度も反芻する。



ーー願いが叶う方法。



ねえ、じゃあ、私の願いも叶えてくれる?



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