たったひとつの恋をください




何やってるんだろう。こんなことしたって、どうにもならないのに。


こんなことで、君の心を変えられるはずなんてないのに。



『誰にも見られちゃいけないよ』



そうだ。まだ終わってない。早く、消さなきゃ。


その小さな白い文字を、黒板消しで端っこから一気に消した。


慌てて消したせいで、少しだけ白く残ってしまった。


それはまるで、白く濁って汚れた私の心みたいだった。





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