たったひとつの恋をください
「ナナちゃん、これからも今まで通り、友達でいてくれる?」
「もちろんだよ」
そんなの、考えるまでもない。むしろこっちからお願いしたいくらいだ。
「よかった」
太一はふっと微笑んで、それから空を仰いだ。
ゆっくりと雲が流れる、澄んだ秋空の下。何気ない会話、雲と同じ速度でゆっくりと流れていく時間。
これからも、今まで通り、四人一緒がいい。
今の居心地のいい関係が、ずっと続いていけばいい。
それが、今の私の、たった一つの願いだった。