たったひとつの恋をください
第十章 「祭りの後」
翌朝。一時間目の授業はお休みで、片付けのための時間が設けられた。
と言っても、先生不在の教室で、片付けや掃除なんて順調に進むはずもなくて。
「見て見て、メイド服ゲット!似合う?」
太一が誰かの忘れ物を拾ってきてはふざけているのを見て、私は思わず吹き出しそうになる。
「ちょっと!真面目にやってよ!ていうかそれ私のだし!」
古澤さんの怒鳴り声と、みんなの笑い声が同時に教室に響いた。
「あははっ。太一くん小学生みたーい。ね、ナナちゃん」
お腹を抱えて笑う琴里に、
「だねえ」
と私も笑顔で返すけれど……ちょっとだけ、引きつってしまったかもしれない。