たったひとつの恋をください




やっぱりという風に、琴里はにっこりと微笑む。


「なんてね。昨日ちらっと、二人が中庭で話してるとこ見ちゃったんだ。内容までは聞こえなかったけど、いつもの感じと違ったから、なんとなくピンときて」


「そ、そうなんだ……」


まんまとワナにハマってしまったことを知って、私はがっくりと肩を落とす。


「で、ホントのところは?」


グイッと顔を寄せて、好奇心に満ちたキラキラした目で私を見つめる。もう逃がさないぞ、とでも言うように。


「えっと……」


私は観念して、全部暴露した。


文化祭の前日に告白されたこと。試合を見に行く約束をしたこと。スリーポイントは入ったけれど、結局断ってしまったこと。


断った理由だけは、言えなかったけれど。


「それが、ナナちゃんが考えて決めたことなんだよね?」


「……うん」


重々しく頷いた。




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