たったひとつの恋をください
第十一章 「ここにいるから」




こういうのを青天の霹靂って言うんだろうか。


突然現れた、「植村さん」という人。お母さんが結婚しようと思ってる人。


今は東京に住んでいるけれど、昔は一緒の部署にいて、よく仕事の相談に乗ってもらっていたんだとか。


たまたま植村さんがこっちに出張に来る機会があって、二人は数年ぶりに再会した。そしてたった一度の再会で、結婚を前提にお付き合いすることになった、と。


植村さんは照れ臭そうに頭を掻きながら話した。


「はは、改めて説明するとなんだか恥ずかしいな。まあ、そういうわけで、これからよろしくね、七瀬ちゃん」



……いや、いやいやいや。


そんな朗らかに言われても、いきなりすぎてまったく頭がついていかないんですけど。




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