たったひとつの恋をください
「……そんな大事なこと、なんで勝手に決めちゃうの?」
唇が震えた。それで、自分が怒っているのがわかった。だって、あまりにも勝手すぎる。
住むところとか、部屋とか、結婚のこととか。そういう大事なこと、お母さんが私に相談してくれたことなんて、ほとんどない。
いつだって事後報告。全部ひとりで決めてしまってから、後で事務処理みたいに私に伝えられるんだ。
私って、お母さんのなんなの?家族じゃないの?
それとも、一緒に持っていくだけの荷物か何かと同じ存在なの?