たったひとつの恋をください




一人ぼっちの静かな夜が、嫌で仕方なかった。淋しくて、怖かった。いつか置いてきぼりにされてしまうような気がいつもしていた。


でも、違ったんだ。お互いが一人で色々考えて、苦しんで、狭いところでずっともがいていた。


「ごめんね。お母さん、いつも一人で先走って。七瀬はもう、ちっちゃな子どもなんかしまゃないのにね」


初めて見た、お母さんの涙。困ったような笑顔。


「そうだよ。ちゃんと、相談してよ。いつもお母さんはいきなりなんだから」


私も釣られて泣きそうになりながら、でも笑っていた。笑っていたいと思った。




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