たったひとつの恋をください
第十二章 「私たちが向かう場所」




「えー、明日までに進路希望の紙を提出するように」


朝のHRで藤本先生が言った一言は、私たちに、もうすぐ受験生なんだってことを嫌でも実感させた。


十二月。あと少しで今年が終わる。冬が終わって、春が来て、三年生になって。来年の今頃は、受験シーズン真っ只中だ。


この街に来てから、あっという間の半年間だったなって、しみじみと思う。


待っていてほしくても、季節は勝手にどんどん進んでいく。


それを淋しいと、今がずっと続けばいいと思ってしまうのは、どっちを選べばいいのかわからずに、まだ迷っているから。



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