たったひとつの恋をください
ほんの一瞬、蓮に目配せした。
あの公園で話をして以来、ちゃんと報告するのは、初めてだったから。
どういう反応かなってちょっと気になったけど、蓮はやっぱりいつも通りだった。
自分から何か訊いてくることもなく、たぶん、あの夜のことがあってもなくても、同じ反応なんだろうなって思った。
少し淋しくて、でもそれが当然のことなんだとも思った。
蓮は、弱っていた私に手を差し伸べてくれただけ。私はその手に甘えてしまっただけ。
それ以上でもそれ以下でもないんだから。
家のことを、三人にはかいつまんで話した。
お母さんが東京の人と再婚することになったこと。いつかは東京に住むことになるけど、今すぐの話ではないこと。だけど、卒業後についていくかここに残るかは、自分で決めなさいと言われたこと。