たったひとつの恋をください





『今、暇?映画のチケットあるんだけど、見に行かない?この前言ってたモンスター・クライシスってやつ』



蓮からだった。


一瞬、見間違いかと思ったけど、何度見たってそこにある文字は変わらない。


それはちょっと前に、面白そうと盛り上がっていた映画だった。確かに観たかったけど、一緒に行くなんて話は出ていなかったはずだ。


これってデート……じゃないよね。


なんで蓮から連絡がきたのかは謎だけど、きっと、琴里たちも一緒なんだろうと思った。


『暇だよ。うん、行きたい』


すぐに返事は返ってきた。


『じゃあ、一時に駅前集合で』


ガバッと勢いよく体を起こした。一気に寝起きの頭が冴えた。





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