たったひとつの恋をください




肩を並べて歩けばまだ緊張してしまうけれど、それ以上に、隣に君がいることが嬉しくて、今だにうまく信じられない。


ーーだけど同時に胸がズキズキと痛むのは、それが勘違いって、心の奥ではとっくにわかってるから。



「そういえば、もうすぐ蓮誕生日だよね」


気を逸らすために、ふと思い出してそう言ってみた。


蓮が私のケータイに番号と一緒に登録した誕生日まで、あと一週間もない。


「ああ、そういやそうだな。なんかプレゼントくれる?」


「なに言ってんの、琴里にお祝いしてもらうんでしょどうせ」


笑いながらそう言ったけれど、蓮の反応はやっぱりどこか鈍くて。


やっぱり、何かあったんだって、疑問が確信に変わってくる。




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