たったひとつの恋をください
蓮と琴里の出会いは、小学校に入ってすぐの頃だった。
クラスは別々だったけれど、家が近所で、お互い家族ぐるみで仲良しだった。
二人とも一人っ子だったこともあって、友達というよりは兄妹みたいな関係だった。
遊び場は主に近所の公園かお互いの家で、たまに同級生にからかわれることもあったけれど、特に気にしなかった。
ずっと小さな頃から一緒にいるのが当たり前で、そのことに何の疑問も持っていなかった。
小学校最後の夏休み。二人は琴里の家で宿題をやっていた。
お腹空いたな、と蓮が言って、じゃあ何か作ってあげるよ、と琴里が言った。
当時から料理が好きだった琴里は、慣れた手つきでホットケーキを焼いた。
それが蓮には楽しそうに見えて、自分もやりたいと言い出した。