たったひとつの恋をください
目に見えて弱っていく琴里と、蓮はどう接していいのかわからず、後ろめたさを感じながら、次第に距離を置くようになった。
その後、琴里の家族が別の区域に引っ越してからは、さらに顔を合わせることもなくなった。
だけど、罪悪感が消えることはなかった。
それは中学に上がってからも、少しも変わることはなくてーー
学校で琴里を見かける度、蓮は胸を痛めた。
自分のせいで、琴里は苦しんでいる。今も、そしてこれからも。
なのに、誰も蓮を責めることはしなかった。
琴里も、親も、琴里の両親でさえ、あれは事故だから、仕方のないことだからと、直接責め立てることはしなかった。
何もできなかった。琴里を守ることもできず、現実と向き合おうともしないで、逃げてばかりの日々。