たったひとつの恋をください




目に見えて弱っていく琴里と、蓮はどう接していいのかわからず、後ろめたさを感じながら、次第に距離を置くようになった。


その後、琴里の家族が別の区域に引っ越してからは、さらに顔を合わせることもなくなった。


だけど、罪悪感が消えることはなかった。


それは中学に上がってからも、少しも変わることはなくてーー


学校で琴里を見かける度、蓮は胸を痛めた。


自分のせいで、琴里は苦しんでいる。今も、そしてこれからも。


なのに、誰も蓮を責めることはしなかった。


琴里も、親も、琴里の両親でさえ、あれは事故だから、仕方のないことだからと、直接責め立てることはしなかった。


何もできなかった。琴里を守ることもできず、現実と向き合おうともしないで、逃げてばかりの日々。





< 311 / 377 >

この作品をシェア

pagetop