たったひとつの恋をください




横になったまま、部屋着に着替えもせずに、制服のまま寝てしまおうかと思った。


でも、こんなときに限って、眠気はまるでやってきてくれない。


棚に立てかけてある映画のDVDも、少女漫画も、流行りのアルバムも。部屋にある暇つぶしグッズだって、今は少しも役に立ちそうになかった。


ゴロンとうつ伏せになって、はあ、と深いため息を枕に落としたそのとき。


枕元に置いていたケータイが、突然、鳴り響いた。




< 322 / 377 >

この作品をシェア

pagetop