たったひとつの恋をください




ーーねえ蓮、なんでもいいから、答えてよ。



『……七瀬』



蓮が私の名前を呼ぶ。


だけどその声は、昨日よりもずっと苦しそうで、泣きそうで。


「……どうしたの?」


ただ事じゃないってことだけは、言わなくてもわかった。


暑くもないのに、手に汗が滲む。


琴里が、と蓮が弱々しく言った。




『琴里が事故に遭った。さっき連絡あって、今、病院にいる』




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