たったひとつの恋をください





音もなく、ケータイが床に落ちた。


聞こえなかった。もう何も。頭の中が、真っ白で。



琴里がーー


あのあと、私と別れたすぐあとに、事故に遭った……?



蓮は病院名を伝えた。待ってると言った。


私が行ってもいいのか、なんて、考えもしなかった。


私はほとんど転げ落ちるようにベッドから出て。



「ーーすぐ行くっ!」



くしゃくしゃの制服のまま、家を飛び出した。




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