たったひとつの恋をください
足が、すくむ。まるで底なし沼に立っているみたいに、ずぶずぶとどこまでも沈んでいきそうな気がする。
ここまで何も考えないで走ってきたのに、いざ扉の前に立つと、ダメだった。
いつだって逃げ出す方法ばかり考えてる、臆病で、情けない自分。
動けない。動きたくない。
この先に何が待っているのか、見るのが怖くて仕方ない。
それでもーー、
目を瞑った。しわくちゃの制服のスカートをギュッと握りしめて。
それでも、開けなきゃ。