たったひとつの恋をください





そんなの勝手だって、君は怒るかもしれない。


逃げるのかって。


逃げることになるのかもしれない。ずるいって言われちゃうかも。


でも、私は、こうするのが一番いいと思ったんだ。



「琴里が今必要としてるのは、私じゃないよ」



蓮の目を見る。戸惑う目。何か言いたそうな目。


「だから、蓮。琴里が目を覚ましたとき、そばにいてあげて。今までと同じように、支えになってあげて」


私はもう、いられないから。


ずっとそばには、いられないから。


でも、君が一緒なら、大丈夫。


たとえ拒絶されたって、何度だってやり直せる。




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