たったひとつの恋をください
第十六章 「二度目の夏」
今年もまた、もうすぐ夏がやってくる。
長袖から半袖に変わった夏服は、もう何度目になるのか自分ですらよくわからない新しい制服。
だけどこれが、最後の制服だ。
初めての大都会での生活は今までと違うことの連続で、最初は戸惑ってばかりいたけれど、よくやく少しずつ慣れてきた。
絶対に理解不能だと思ってた複雑すぎる地下鉄の路線図も、今ではちゃんと見方がわかるようになった。
家族が増えて、新しい友達ができた。
色んなことが変わって、大変なことだってもちろんあるけれど、それなりに楽しくやってると思う。