たったひとつの恋をください
そんなに広くはない公園で、暗がりでも灯りに照らされた全体が見渡せた。
すべり台にブランコに砂場に、真ん中に背の高い木があって、端っこには三角屋根の小さな東屋と、バスケットゴールが立っている。
そして、そこに向かってボールを打つ、一人の男の子。
私はすうっと短く息を吸い込んだ。
そこに誰かがいるのはわかっていたのに、実際にいたことに驚いているなんて、なんだか変な話だ。
気づけば、公園の中に足を踏み入れていた。なんでかはわからないけれど、もっと近くで見たいと思った。
私と同じ歳くらいの、背の高い男の子だった。
少しジャンプをすれば手が届きそうだけれど、彼は少し離れた場所からひたすらゴールに向かってボールを打ち続ける。何度も何度も。
ぼんやりと灯りに照らされたその姿が、なんだか絵になっていて、私は思わず見惚れてしまった。
どれだけ見ていても飽きない気がした。