たったひとつの恋をください
第三章 「勝つか、負けるか」
……遅い。
ジリジリと焼けるような太陽の下。私はもう三十分近くも、バカみたいに待ちぼうけをくらっている。
待ち合わせ場所は、学校の校門前。
土曜日だっていうのに、続々と生徒がやって来る。普段は見かけない顔ぶれが、きゃいきゃいはしゃぎながら通り過ぎていく。
そんな光景を横目で眺めながら私は、やっぱり来なきゃよかったかな、なんて早くも後悔しはじめていた。
せっかく補習が休みなのに、なんでわざわざ学校に来てるんだろう。
しかも言い出した張本人は全然来る気配がないし。
まったく、人を待たせといて何をやってるんだろう。