たったひとつの恋をください
さあっと血の気が引いた。
ど、どうしよう。もしかして私、何か物騒な場面に遭遇してる?だったら早く通報しなきゃ。いやでも、まだそうと決まったわけじゃないし……。
ゴクリと唾を呑んだ。逆光でよく見えなくて、人だという他は何もわからない。
近づきたくなんてないけど、放っておくわけにもいかなくて。おそるおそる、足を向けてみる。
ようやくその全体が確認できる距離まで来て、私はまたしても悲鳴を上げそうになった。
「れ、蓮ッ!?」
なぜか地面に横たわっているのは、蓮だった。
……な、なんでこんなところにっ!?
私は蓮わけがわからないまま、の頬をペチペチと叩いてみる。けど、ピクリとも反応しない。
そういえば。ふと、昼間の女の子たちの会話ん思い出す。
ーー蓮くん、ケガ治ったばっかなのに大丈夫かなあ?
もしかして、ケガが急に痛み出したとか?
今日、たくさん走ったから?
それで、気絶して……。
「蓮!大丈夫っ!?」
私は慌てて身を乗り出して、大声で呼びかけた。