不器用男子に溺愛されて
「わ、私……また何かやらかしちゃいましたか……?」
お昼休憩後、私はすぐに佐伯さんの元を訪ねた。そんな私に佐伯さんが場所を移そうと提案し、私と佐伯さんは誰も使っていないと小さな第二会議室へとやって来た。
「ああ、まあ、そんなとこ。もうこっちで修正は済ませたんだけど、今朝提出してくれた会議用資料のグラフに今月分のデータが反映されてなかった」
「す、すみません」
「何とか会議までに気付けて修正出来たから大丈夫なんだけど……小畑、今日何かあったか?」
「えっ……ど、どうしてですか」
「この手のミスは最近殆どしてなかっただろ。それに、夏原と坂田から午前中に今日は小畑の様子が一段とおかしいからミスしてもキツく怒らないでやってって言われてな」
まあ、元々キツく怒るつもりはないけど。と付け足して笑った佐伯さん。
咲ちゃんと加奈代さん、私の事をそんなに心配してくれてたんだ。と、私は知らず知らずのうちに与えられていた優しさに少しだけ瞳が潤んだ。
「何かあったか?」
佐伯さんが少し俯いた私の顔を覗き込んだ。
「まあ、嫌なら俺に話す必要はないけどな。実際、あんな風に心配してくれる友達も同じ職場にいる彼氏もいるわけだし」