不器用男子に溺愛されて

「昨日のことも、堀川さんが言う通り私がここで正社員になればもっと迷惑もかかると思いますし、でも、堀川さんが単に私と一緒に働きたくないのかなとも思うんです。本当はどう思ってるのか知りたいんです、けど……」

「そればかりは、俺に聞かれても分からないなぁ。堀川は、会社や小畑のことを考えて言ったのかもしれない。でも、もしかしたら小畑と働きたくないって線もあるかもしれない。まあ、普通、自分の彼女ならそんなことないと思うけど。その二つの線もあるし、それ以外の線もあるかもしれないと俺は思ったけどね」

 言わないけど、と付け足して佐伯さんがニヤリと笑う。

「ええ!教えてくれないんですか!」

「教えなーい。まあ、あれだ。とにかく、彼女に対してそういう対応の仕方は良くないな。小畑も、自分が我慢してたらいいって問題じゃない。我慢して一緒にいるのなら、それは、すごく意味のないことだから。ただ、堀川の恋人に対する対応っていうのがそもそもの問題だと俺は思うから、ちゃんとこれは嫌で、こうしたいんだよって、思ってること伝えたほうがいいよ」

「……はい。ありがとうございます」


 今の佐伯さんの言葉を聞き、そして、咲ちゃんや加奈代さんのことを考えた私は、今、ひとつの決心をした。


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