不器用男子に溺愛されて

 理久くんの言葉に、私は唇を噛む力を更に強めた。

「どうして、そんなこと言うの。私は、私はっ……」

「まぁ、どっちでももう俺には関係ないか。……お似合いじゃん。小畑にはああいう優しい人の方が合ってるよ」

 理久くんは私の言葉を遮りそう言うと、私の右隣を通り過ぎ去っていった。

 私は、ついに堪え切れなくなった涙を両手で顔を覆い隠すと、そのままその場にしゃがみ込んだ。


「なんでっ……どうして、こうなったの」


 好き、好き、好き、好き。

 こんな時にも溢れ出して止まらない理久くんへの気持ち。私は、ただ理久くんが好きで、好きで、大好きなだけなのに。理久くんだけが私の特別だったのに。

 どうして、こんなにもうまくいかないのだろう。


 
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