不器用男子に溺愛されて
「うわ……何、お前らずっと見てたわけ? もしくは、小畑とグルか」
低いトーンの理久くんの声。顔を見なくたって、理久くんがすごく嫌そうな顔をしているのが目に浮かんだ。
「お前が小畑ちゃん困らせてるからだろ!小畑ちゃんこんなに頑張ってんだから、お前も変な格好つけてないで、いい加減素直になれよ」
「堀川さん、私からも言わせてもらいますけど、みや子のこと、ちゃんと考えてあげてください。話をちゃんと聞いてあげてください。みや子のことを今も想ってくれてるのなら、自分の気持ちもちゃんと伝えてあげてください」
ちらりと顔を上げて理久くんを見た。すると、理久くんはやっぱりすごく不機嫌そうな顔をしている。
「……お前らには関係ない。二人で話すから。小畑、ちょっとこっち来い」
「えっ、あっ……!」
私は、右手をぐっと掴まれると、そのまま理久くんに連れられ歩いた。
しばらく歩いた私が連れて来られたのは、少しだけ久しぶりに感じる理久くんの家。私は、そのフローリングにぺたりと座り込むと、理久くんが話すのを待った。
「なに、あれ」
恐る恐る、理久くんの表情を確認する。やはり理久くんは、少しだけ不機嫌そうな顔をしている。