不器用男子に溺愛されて
真っ直ぐ、理久くんを見る。
分かって。分かって欲しい。こんなにも想っていること。理久くんを、好きなこと。
理久くんは、私から少しずつ目を伏せるようにして視線を逸らした。そして、ゆっくり口を開いた。
「前にも言ったけど、正直、今でも小畑に俺は似合わないと思ってる。こんな俺のどこが良くて付き合ってたのか分からないし、俺に小畑は勿体無い気さえしてた。実際、森田にもそれはよく言われてた。〝お前みたいな性悪に小畑ちゃんは勿体無いよな〜〟って。まぁ、本当にその通りだと思うけど」
いつもと変わらないトーンで話し続ける理久くんの視線がミャーコへと落ちる。ミャーコのことを指先で優しく愛でながら、理久くんは再び話を続けた。
「だから、出来ることなら他の男のところに行ってほしいと思ってた。その方が小畑のためだと思ってたし。だけど、イライラするわ落ち着かないわで、仕事も集中できないし、思った以上に自分が情けない男で驚いた」
理久くんの言葉に、私は目を丸くして驚いた。だって、まさか、理久くんの口からこんな言葉を聞くことになるとは思っていなかったから。
だけど、それ以上に、理久くんが私のことを考えてくれていたという事実が嬉しくて、幸せで、私は気がつけば口を開いていた。