不器用男子に溺愛されて
「うん。似てる」
彼は二度頷き、自分の中だけで納得をするとそのまま猫をまた腕の中に戻した。
「え? ど、どこがですか」
彼の腕の中で気持ちよさそうに瞼を下ろしている白い猫と、私。どこがどう似ていたのか、それが純粋に気になり聞いてみた。すると、彼は白猫に視線を向けて「丸いところ」と答えた。
「ま、丸いところ……⁉︎」
私は、彼の答えに少し……いや、結構なショックを受けたのを覚えている。しかし、そのショックよりも、彼の知らない一面を知れたこと。そして、もっと彼を知りたいと思う好奇心の方が大きかった。
もっと、彼に近づきたい。
もっと、彼を知りたい。
もっと、彼と話がしたい。
そうすれば、私は、きっと、もっと、彼のことを好きになる。
そんな予感がしていた────。