不器用男子に溺愛されて
何をしてるんだろう、そう思いながら理久くんの後ろ姿を見ていた。すると突然、理久くんの後姿だけが映る私の視界にものすごくスタイルの良い黒髪の女の人が入ってくる。そして、その女の人は理久くんに物凄い勢いで抱き着いた。
「えっ!」
「えっ⁉︎」
私と咲ちゃんの声が重なる。私達は顔を見合わせて、ただただ口をあんぐりと開いたままでいた。
驚きから何を話すことも、何をすることもできない。そんな私達が視線を元に戻した頃には、理久くんとその女の人は肩を並べて歩き出していた。
「ちょっと、追うわよ!」
「えっ、咲ちゃん⁉︎」
慌てて私の手をとった咲ちゃんが、私を引っ張るようにして会社の外へと踏み出した。そして、私と咲ちゃんは姿を隠しながら理久くんと女の人を尾行し始めた。
「どこ行くんだろう……」
それより、あの人は一体誰なんだろう。スーツでも制服でもなく、胸元が広く開いたオフショルダーのニットにスキニーパンツ。そして、綺麗な黒髪を巻いている大人っぽい印象のとても綺麗な人。
間違いなくこの会社の人ではない。だけど、まるで理久くんを迎えに来たかのように会社の前までやって来ていた。