不器用男子に溺愛されて
私は、理久くんに全てを話した。会社の前で理久くんが元彼女と待ち合わせて家へと帰ったこと。それから、こうしてダイエットを始めてイメージチェンジを試みたのは、その元彼女のように綺麗になろうと思ったのがキッカケだと言うこと。
すべてを明かすと理久くんは、多分今までで一番大きいであろう程の溜息を零した。
「あのさ、小畑」
「はい」
「あれ、元カノじゃないんだけど。大体、誰。元カノとか言った奴」
まあ、聞かなくてもわかるけど。
そう言った理久くんは、きっと、頭の中で森田さんを思い浮かべているに違いない。
「あれは、姉貴」
「え⁉︎ で、でも、ハグしてた……」
「あー……あれは、殆ど欧米人だから」
「え? お姉さん外国人なの?」
「いや、そうじゃなくて。コミュニケーションの基準が。大学の頃からアメリカに住んでるからちょっとおかしいんだよ。この間も家呼べなかったのはまだあいついて……だから呼べなかった。ごめん」
いまいち噛み合っていなかった私と理久くんの会話がやっと噛み合った。
元彼女だと思っていたあの女性は理久くんのお姉さんで、ハグをしていたのはお姉さんがアメリカ住みで挨拶のようなものだから。そういうことのようだ。