不器用男子に溺愛されて
「そっかあ」
一気に重たい荷物が降りたかのように、ほっとした私は安堵の息を漏らした。すると、理久くんは何故か不機嫌そうに口を開いた。
「そんな事より、この事実知ってもイメチェンするつもりじゃないよな」
「え? えっと……それは」
「正直、やめて欲しいんだけど。する必要ない」
すぱっ、と言い切った理久くん。私としては、浮気ではなかったとしてもやっぱりあんな風に綺麗な女性になれた方が良い気がするし、その方が理久くんも喜ぶような気がする。だけど。
「でも、あんな風に綺麗になれたら良くない? そうなったら、嬉しいよね?」
「別に。あんな風になったって少しも嬉しくないから。そのままでいい」
理久くんがそう言って視線を逸らした。
ああ、不器用な理久くんなりの曖昧な愛情表現だ。そう分かってしまった私は、嬉しくて、幸せで、いとも簡単にイメージチェンジをするという目標と言葉を曲げたのでした。