不器用男子に溺愛されて
episode * 06
「おーい。ミャーコ、おいでおいで」
ぱちぱちと手を叩き、誰かの足元で気持ちよさそうにしている白猫を呼んでいる私。その、私が呼んでいる白猫、ミャーコを足の上に乗せているのは。
「ミャーコ、聞いてんのかー」
優しい表情を足元のミャーコに向けている理久くんである。
「ミャーコー」
めげずにミャーコの名前を呼び続けていた私も、そろそろ心が折れそうだった。
「もうっ」
少しだけ悔しくて、小さくそう呟いた私は、フローリングにぐっと足を真っ直ぐに伸ばすとその足にお腹をくっつけるようにして上半身を倒した。
「何してんの」
「あ、ちょっと……ダイエットみたいな感じ、かなぁ」
あの、理久くんの浮気疑惑以来、何となく意識をして続けているダイエット。
いくら浮気をされていなかったとはいえ、だらしない体ではいけない。まだそこまでではないとはいえ、そこら辺の女の子と比べれば間違いなく〝ぽっちゃり〟に属されてしまう。
周りの子が細すぎるんだ。何度もそう思ったし、実際そうなんだけれど、周りが細いということは、男子の目もそれだけ分肥えるのだ。
だから私は、ダイエットだけはちゃんと続けよう。そう決めたのだけれど、何だか私の言葉を聞いた理久くんはまた不機嫌そうな顔をしている。