不器用男子に溺愛されて

 私は、次々と溢れる涙を必死に拭いとり、少しだけ呼吸を整える。そして。


「うん!する!するっ……!私、理久くんと結婚したい!」


 勝手に溢れる涙と笑顔とともに、私はそう答えた。

 ふっ、と口角を上げて笑った理久くんは、私の頬に手を伸ばすと「泣きすぎ」と言って涙を親指で拭う。


「でも、理久くん……」

「なに?」

「私で、いいの?」


 私の質問に、理久くんは心底呆れた表情をした。そして。


「そうじゃなかったらこんなこと言わないんだけど」


 そう言って私の顎に手を添えると、ゆっくりと触れるだけのキスをした────。








「これで、分かった?」







 唇を離すと、不器用な彼は、そう言って少しだけ照れくさそうに笑ったのでした。








* おわり *





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