レモン・キャンディー【短編】
階段をのぼりかけたあたしを呼び止める大地の声。
「お前最近、元気なくねえ?
・・・俺んトコにも顔出さないし。なんかあったのか?」
大地に背を向けたまま、目をギュッとつぶった。
あんたが原因なんだよ。
変に心配しないでよ。
変な詮索しないでよ。
・・・変に期待、させないでよ・・・
本当に辛くて、零れかけた涙をぎゅっと堪えた。
「・・・えへへッ 何にもないよお?
あたしの心配なんかしないで、彼女の心配してなよ」
「ちょっ・・と!おい!」
大地の制止も無視して、一気に階段を駆け上がった。