恋して愛して


「恭介君!なにしてるの!?」


帰り道だろうと言うことは、冷静になれば分かる。

でも、あんなこと考えてるときに来て冷静になれない。


「帰り道に決まってんだろ」

当然の返答に、とりあえず頷くしかなかった。

私たちは無言のまま、歩き出した。


あ、そう言えば恭介君の好きなタイプってどんな人かな。

ふと思いついた疑問に、胸がかゆくなってきた。

んー。とっさに愛海さんを思い出す。


綺麗で気配りもできて…私、全然当てはまらないし。

勝手に考えて、勝手に落ち込んでる。

でも、去年のお祭りでは…


去年のことを考えて、急に顔が熱くなる。

急に浮かれて、歩道の段差につまずく。

その瞬間、恭介君に腕を引かれる。


勢いづいて、恭介君の胸にぶち当たる。

今。今こんな状況になっては…!

私は急いで離れる。


「ありがと!あー、私ってほんとに運動音痴。」
< 163 / 304 >

この作品をシェア

pagetop