恋して愛して
「助けて下さい…」
パニックで、言える言葉はこれくらい。
「どうした。」
いつものふざけた感じとは全然違う声で聞いてくる。
妙に安心させるその声は、やっぱり恭介君と似てた。
「後を、つけられてて」
先生が確認に行くと、まだ居たようで気づかれないように戻ってきた。
「こんなことしたくないけど」
そう言って、私の腕を引いて駐車場に向かう。
先生の物と思われる黒い車に乗せられた。
「とりあえず乗ってろ」
指示に従うしかない。
先生は車を発進させた。
コンビニ前で張り込んでいた男の人は小さくなって、見えなくなった。
「あの…ありがとうございます」
「これは-、貸し一ってことでOK?」
「一応、助けてもらった身なので。」
「ははっ。冗談。無理すんな」
堀先生は、あくまでも私より年上なんだ。大人だ。