恋して愛して
「なんで、あんなことするの。」
花恋の冷静な声が聞こえてくる。
「花恋は、気づいてても気づかないフリする。
それが嫌だって、俺は昔から言ってたよな」
「急に話逸らさないで。」
「逸らしてない。それがそれが原因だから話してんだよ」
「あー。今朝のは、あたしが悪いって言いたいの?」
「そうは言ってないだろ」
「そう言ってる!」
花恋の怒鳴り声を初めて聞いて、肩が上がる。
聞いてる私が、緊張しちゃう。
しばらく沈黙が続いた。
「気付いてんだろ。俺の気持ちに」
翔君の言いたいことがなんとなく分かった。
「…気づいてるわけないでしょ。だいたい、翔は昔からそう。
あたしがなんでも気づいてるって思ってる。
なんでも冷静に対応してるって思ってるんでしょ?
でも違う。そんなんじゃない。冷静に見せてるの。
焦ってる自分を見られたくないから!
そんなあたしを翔なら分かるんじゃないかって思ってたの。」
初めて聞いた、花恋の本音。