恋して愛して



「今朝の…あれは謝れ。あたしはあんたのせいで、恥ずかしかった」

花恋の心情的には、たぶんなにか一つでも文句言いたかったんだと思う。

それは今まで演じてきた、『冷静な』自分のプライド。

「やだよ。まだ返事聞いてないし。

側にいろって言ってんのに、わかったくらいは言われてもいいだろ。

つーか、お前は俺が好きなんだろ?」


まぁいかにも、翔君の言いそうな言葉だなぁ。

イケメンだからこそ、いつもの翔君だからこそ言える言葉。

「うるさい!言わなくてもわかるんでしょ?それなら察して。」

遠まわしに「好き」って言うところも、花恋らしい。

「じゃ今朝のはチャラな」

「はい?ほんとむかつく。学校にいるあんたの親衛隊と仲良くしたら?」

「あー。あの子達とは縁切った。やんわりとね?」

それは初耳だったから、私も恭介君も驚いてた。


「あいつ、いつのまに…」

隣で恭介君が呟く。
< 197 / 304 >

この作品をシェア

pagetop