恋して愛して


その日の帰り道、一人で帰ってると翔がいた。

まるで待ち伏せしてたみたいに。


「…さっきはありがと」

「なんかしたっけ?俺」

かっこつけやがって。って今なら思うけど、

その時のあたしは正直かっこいいって思ってた。


「一緒に帰ろうぜ」

「あんた部活は」

「今日は休みです〜」

「あっそ」


あたしは何も話さないつもりだった。

仕掛けてきたのは、翔の方。

「いじめ…まだあんだな。俺違うクラスで、知らなかった」

あんたには一番触れられたくない話題。

なんでわからないの?

そんなこと口に出来るはずもなく、ただ黙って歩いてる。


「花恋の母さん、化粧品会社の社長だったよなー?」

「それがなに?」

「化粧とかしてみたら?花恋興味あるって、前言ってたし」


確かに言った記憶はある。

でも、急にそんなの出来るものでもないし。

「お前は、なんでもネガティブに考えすぎなんだっつーの」

翔は笑いながら言う。
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