恋して愛して


もう今更何よ。


「え!か、花恋!お前…」

翔が朝から隣のクラスからやって来た。

一番来て欲しくない。

言われた通りにしたって思われたくない。


「いいじゃん!な!リョウ」

翔の隣にいた友達の肩を組む。

同意を求めなくていいよっ。


「うん…本当に、貞…じゃなくて、篠山?」

「そうだよな?花恋?」

翔はあたしの肩を掴む。

恐る恐る振り向くと、リョウという人と目が合った。

リョウという人は、あたしから目を逸らさなかった。

いつもなら、すぐに逸らしてどこかえ消えていく。


今日は少し違った。


「あの…篠山。今までごめんな?」

今日はこんな言葉が多かった。


ああ、男ってこんなもんなんだ。

顔がよけりゃなんだっていい。

顔がいい人とは付き合っていたい。

わがままで意地汚い。
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