恋して愛して
入院…病気だったのかな?
「正直迷った。会いに行くべきか。
でもやっぱり親の顔は見ておきたかった。行ったんだよ、病院に。
そしたら、細い女がいて。本当に自分の母か分からなかった。」
先生の顔はどんどん暗くなっていく。
悲しそうに、辛そうに。
「最初の一声は、金田由美子(カネダユミコ)さんですか?だ。あ、金田由美子は母の本名」
「金田由美子?」
今まで黙ってた恭介君が急に声を上げる。
「そうだ。」
恭介君の顔が、強ばっていた。
どうしたんだろう…
「そしたら、そうですって言われて。俺はあなたの息子の堀航です。って言ったらあっちも覚えててくれた。
ごめんねとも言われて。それで…まぁ、ちょくちょく会いに行ってた。
で、とうとうやばくなった。体調が悪化してきて。」
なぜかこっちにも緊張が伝わってきた。
「そんで、母が最期を迎えた日に弟のことを知らされた。」
『弟がいるの。4歳違いのね。いつか一緒に家族になってあげて』
と言われたそう。