恋して愛して
そう思いながら、早足で歩く。
…おい、まじかよ。
昨日の女は、また居た。
傘をその女の上に移動させる。
「雨…降ってるけど?」
今日も手紙を持ってきたらしい。
いらねーって言ってんのに。
結構濡れてるし、このまま返したら…
ったく、めんどくせぇやつ。
「とりあえず入れ」
俺は、家に招き入れてしまった。
ココア入れて、着替えさせて…
俺はなにやってんだ。
女に優しくしたって、めんどくせーだけなのに。
どうせ、これで俺に惚れたとか言って、寄ってくる。
信用する価値がない。
だけど、こいつはちょっと違った。
「美味しい…」
そう言った女の顔が、何も疑うことを知らない顔だった。
素直、その言葉がよく似合う顔。
「知ってる」
思わず俺も、笑ってしまった。