恋して愛して


私がそんなことになってるとも知らず、焼きそばを食べ続ける恭介君。


「よし。」

そう言って、また私の手を握ってどこかに歩き出す。

「恭介君?どこへ?」

「特等席」

それだけ言うと、私の手を引いて歩く。


お祭りがやってた所からは結構離れてる。

結構暗いし、ちょっと怖い。

「脚、大丈夫か?」

「あ、うん!平気」

強がってるだけで、やっぱりちょっと痛い。

靴擦れとかじゃないけど、下駄って硬いから足が痛い。

「嘘つくの下手すぎ」

そう言って私を抱っこしてくれた。

「ちょ、ちょっと。恭介君っ」

「この階段上がってすぐの所だから」


階段を登ると、ちょっとした広場みたいになってて、

そこからの眺めが綺麗だった。

ちょっと夕日が見えて、だけどもう空は紫になってて。
< 66 / 304 >

この作品をシェア

pagetop