勿忘草―ワスレナグサ―
―図書室―
蓮田「すいませーん、本返しに来たんですけど。」
だれもいないようだった。
元々この図書室にはほとんど人はいない。
今どき本を熱心に読んでいるヤツなんておれくらいだろう。
なぜか図書室には絶対に使わないであろう大きな黒板が正面に設置されていた。
―カランッ―
チョークの落ちる音がした。
音に気づいて顔をそちらに向けた。
? 「はわわわゎゎ・・・///」
蓮田「はわわ?」
知らない女子だった。
髪は少し短くて、背も小さい。
でも、どことなく懐かしいような気持ちがした。
? 「蓮田くん・・・」
蓮田「え、なんでおれの・・・」
? 「――――!」
その子はハッとして図書室からでて行ってしまった。
蓮田「だれだったんだ?」
ふと見ると黒板の隅には消えそうになっている文字が書いてあった。
蓮田「don・・・forg・・・me?」
その文字が気になって仕方なかった。
頭のなかがモヤモヤする。
蓮田「・・・ん?」
転がったチョークの横に学生証が落ちていた。
きっとあの子が落としてしまったのだろう。
その学生証を拾い上げた。
蓮田「・・・この子となりのクラスじゃん」