勿忘草―ワスレナグサ―
蓮田「て言ってもな・・・」
正直、作戦と呼べる作戦はなにも思いついていなかった。
なにしろ今まで接点はなにもなかったのだ。
蓮田「あっそういえば・・・」
前に白藤さんを探していた時に声をかけられたことを思い出した。
名前はたしか、桐乃と言っただろうか。
蓮田「桐乃さんに聞いてみるか」
なんでもいい。
とにかく白藤さんと話すきっかけが欲しかった。
―2組―
蓮田「えっと、桐乃さんは・・・」
そのとき、またしてもうしろから声をかけられた。
桐乃「私になにか用?」
蓮田「うわぁ!」
桐乃「呼んでおいて失礼な人ね。」
蓮田「あっごめん・・・」
桐乃「それで、何?」
蓮田「白藤さんの事なんだけど・・・」
桐乃「あの子ならいつも図書室にいるわ。 本が好きみたいだから。」
蓮田「ありがとう桐乃さん」
桐乃「・・・・・・桐乃。」
蓮田「え?」
桐乃「・・・桐乃でいい。―さんはすきじゃないから。」
蓮田「わかったよ桐乃」
桐乃「あと、小春――、白藤さんには関わらない方がいい。」
そういって、桐乃はまた静かに去っていった。
蓮田「・・・どうゆう意味なんだ?」
このときはまだ、おれは桐乃の言葉の意味が分からず、
ただ白藤さんの下の名前が「小春」だということを知ったことへの嬉しさだけが頭に残った。